『スピノザの診察室』を読み終えました。

読んでいる間ももちろん楽しんでいたのですが、不思議と読み終わった後の方が、この物語について考える時間が増えています。
私はこれまで、サスペンスやミステリーのような「次はどうなるんだろう?」と続きが気になる本を読むことが多くありました。起承転結がはっきりしていて、最後に伏線が回収されるような作品が好きです。
そんな私にとって、『スピノザの診察室』は少し違う魅力を持った作品でした。
大きな事件が起こるわけではありません。
ですが、人を思うこと、生きること、死ぬこと、日常を大切にすること。そんな一つひとつが丁寧に描かれていて、気づけば心の奥の柔らかい部分をぎゅっと掴まれていました。
特に後半は何度も涙が出ました。
哲郎と花垣の関係性ややりとりには胸が熱くなりましたし、ある患者さんが亡くなった場面では、哲郎が考えたことや南先生に伝えた言葉が深く心に残っています。
でも、悲しいから泣くというわけではなく、
「こんなふうに人と関われたら素敵だな」
「こんな人でありたいな」
そんな気持ちが湧いてきて、気づけば涙が出ていました。
この本を読んでいて特に印象に残ったのは、登場人物たちが誰かのために何かをするとき、それが大げさではないことです。
派手な言葉もなければ、特別な奇跡が起こるわけでもありません。
相手を気遣うこと
相手の話を聞くこと
相手の立場に立って考えること
そうした日々の小さな積み重ねが、人を支えたり救ったりするのだと教えてもらったような気がします。
読み終わった後に、
私はどう生きたいのか
どんな人でいたいのか
これからどんなふうに周りの人と関わっていきたいのか
そうした問いを心の中に残してくれる一冊でした。
ちなみに、小説はいつも図書館で借りています。
予約した本の順番が回ってくるのを待つ時間も好きですし、「ご用意できました」という連絡が来ると少しうれしくなります。
そして不思議なことに、その時に手元にやってくる本は、その時の自分に必要なことを教えてくれるような気がしています。
今回の『スピノザの診察室』も、まさにそんな一冊でした。
この1年間で自分の生活にも様々な変化があり、
その中で「次に何をするか」だけではなく、「どう生きたいか」を考える機会も増えたように思います。
だからこそ、この本の言葉や登場人物たちの姿が、これまで以上に心に響いたのかもしれません。
図書館で順番を待った先に出会えたこの一冊に、感謝したいです。
読めて本当によかったと思える作品でした!

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